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2024.08.28
同じ調剤薬局でも、大手チェーン薬局、中小薬局、個人薬局でそれぞれ特徴があります。ここではその傾向を解説していきます。
■大手チェーン薬局
何店舗以上を「大手」と呼ぶかなどの定義はありませんが、全国展開している企業を「大手」と呼ぶことが多いようです。傾向としては、下記があげられます。
①研修体制が充実している
調剤事務向けの研修や、OJTのチェックリストが用意されていることもあり、調剤事務として必要な事項を漏れなく覚えることが可能です。さらに、業務マニュアルが充実しており、マニュアルに沿って覚えれば良いという安心感はあるでしょう。また、店舗数が多いことにより、未経験の方が入社する場合は会社側が「研修しやすい店舗」への配属を検討しやすいと言えます。
②ハード面が充実している
現在はどの調剤薬局でもレセプトコンピュータと呼ばれるシステム(レセコン)を導入しています。レセコンでは処方せんの内容を入力し、必要な印刷物の出力、会計の計算、保険請求データの作成がされるようになっています。システム導入に積極的な会社は二次元バーコード入力による手入力の省力化、オンライン処方せんへの対応など、新たな取り組みをどんどん進めています。さらに監査システムや設備が充実していることが多く、機械によるチェックなどがあれば、働く人にとっても安心感が増すでしょう。
③仕事の進め方、雰囲気
上述のように大手チェーン薬局ではマニュアル等が整備されているので、まずはその業務フローに沿ってしっかりと基礎を固めたほうが良いでしょう。ただ、時にマニュアルに縛られていると感じることもあると思います。また、手続きを進めるにあたり、許可や申請が必要なケースも多く、なかなか事が進まないと感じることもあるかもしれません。
また、よく話題になるのが「ノルマ」です。利益を出すために、店舗同士を競わせたり、ノルマ達成度を評価の一部にしている会社もあります。ノルマの内容としては、「かかりつけ薬剤師の契約件数や声かけ件数」、「強化商品などの販売金額や販売個数」といったものがあります。営業のような声かけに苦手意識のある方は、しっかりと把握しておくことが大切です。
④様々なキャリアがある
経験を重ね、より広い範囲で力を発揮したいなどの希望がある場合には、自分が所属する店舗だけでなくエリアやブロックなどに貢献する仕事をして、それにより評価が上がり給与アップを狙える可能性もあります。また、希望や活躍などの状況により本部職というキャリアもあり得ます。
➄休暇が取りやすい
ヘルプ体制などが整備されており、休みが取りやすいことが多いようです。たとえばA店で複数名の有休申請などが出た場合に、その日に余裕のありそうなB店からのヘルプ、あるいはラウンダーといって特定の店舗に所属しないスタッフによるヘルプがあったりします。逆にいうと、自分がA店所属だった場合に、B店にヘルプに行く可能性もあります。これはお互いさまの精神で協力することが大切でしょう。また、正社員であれば通勤可能な範囲で異動が発生する場合もあります。
■個人薬局
「個人薬局」も明確な定義はありませんが、1~2店舗の薬局のことを「個人薬局」と呼ぶ方が多いようです。傾向としては、下記があげられます。
①地域に根付いた働き方ができる
地域に根付いて、薬局の顔として活躍することができます。スタッフの出入りも少ないので、慣れてくると落ち着いて働けるでしょう。
社長=管理薬剤師の場合もあり、自分の意見や考えを社長に伝えやすいというメリットがあります。たとえば何かを提案した場合にはその返答も早いことが多く、問題点の早期解決につながります。ただし、社長が長年のルールを変えたくないという方だったり、そもそも意見を言ってほしくないという方もいるようなので、応募時などにしっかりと確認しておくことが必要です。
③研修制度は未整備のことも
いわゆるOJTが中心となる場合もあります。そのため、特に未経験の方は自分で都度メモを取って覚えていく必要があるでしょう。
④給与は高めのことも
大手チェーン薬局のように給与テーブルが整備されていることが少なく、研修体制に費用がかからない分、給与が高めに設定されることもあるようです。
➄異動の可能性が少ない
「異動の可能性がない(少ない)」のは、そのストレスを排除することができるでしょう。
ただし、個人薬局ではスタッフ数が限られているため、大手チェーン薬局や中小薬局に比べると希望通りに休みが取れないこともあるでしょう。
現在ではM&Aなどが活発なため、他の薬局による買収などがあった場合には大手チェーン薬局や中小薬局のルールに従うことになります。面接時などに、どのような理念で薬局を経営しているのかや今後の見通しなどを質問してみるのも良いでしょう。
■中小薬局
こちらも明確に「中小薬局」という定義があるわけではありませんが、上記で説明した大手チェーン薬局と個人薬局の間の規模のものを呼ぶことが多いようです。
その傾向も大手チェーン調剤薬局と個人薬局の間のようなイメージになりますが、経営者が今後の拡大を考えている場合もあり、会社の拡大期を経験したい人にとっては良い経験ができる可能性があります。
【参考】中小企業とは
中小企業基本法によれば、薬局があてはまる小売業においては下記のいずれかに該当する場合は「中小企業」であるとされています。
・資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社
・常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人
以上のように、会社の規模によってそれぞれ特徴や傾向があります。転職の際はそれを把握していると、「思っていたのと違う」となる可能性は低くできるでしょう。
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